ウコンのすばらしい含有成分
ウコン独特のの薬理成分
ウコンの薬理成分をうかがうと、日本薬局方に認定されている関係もあいまって、秋ウコンを用いて検討されたデータのほうが多く報告されています。
ただし、成分表で見るかぎり、秋ウコンと春ウコンは同じくらいの薬理作用を持っており、むしろ春ウコンの方が薬草として効果があり、価値があると言えましょう。
ウコンの代表的な成分
ウコンの根茎部には、さまざまな成分が含まれています。
そのうち、最も代表的な成分は黄色色素として有名な「クルクミン」で、これは水に溶けやすい成分です。
「フラボノイド」「カンファー」「アズノン」「シオネール」などはいずれも脂に溶けやすい成分で、これは「精油成分」と言われます。
国立衛生研究所で分析されたウコンの成分が及ぼす作用は次のように示されていますが、このデータによると、人体に対して薬理作用を示すのは、水溶性のクルクミンよりむしろ脂溶性の精油成分のほうではないかと考えられます。
肝臓の働きを強化して、胆汁の分泌を促進する。利尿作用がある。
フラボノイド
抗出血性の働きを示すビタミンPと同じ作用がある。
カンファー
神経の興奮作用、強心作用を持つ。
アズノン
炎症や潰瘍を治す。胃液のペプシンを抑える作用がある。
シオネール
健胃作用がある。殺菌作用や防腐作用に優れた効果を示す。
また、ウコンの成分表を見ると、種類および栽培地によってかなりの違いが見られますが、(財)日本食品分析センターによる沖縄県本部町産の春ウコンの例で見ると、とくに鉄分が多量に含まれています。
また、ウコンには一般に、春ウコン、秋ウコンの別を問わず、カリウム、カルシウム、リン、マグネシウムなどのミネラルが多く含まれています。
ちなみに、成分表に見られる灰分とは、物が燃えたあとに残る不燃性のかすで、いうなれば分類不能な形で出てくる残りかすのことです。わかりやすく言えば、分析できない微量成分を灰分として分類しているわけです。
また、タンニンは繊維(セルロース)とは構造がちょっと違っていて、お茶などに含まれる繊維類に似た化合物の一種で、渋みのもとになる成分です。
タンニンは糖類が結合した化合物の形で、おもに植物の中に作られるものですが、動物のからだには含まれておらず、人が食べても分解も吸収もされずに体外に排出されます。
つまり、セルロースに似た収斂作用があるため、他の物質を吸着させて、からだの外に運び出す役目を果たしています。
なお、ウコンの薬効を医学的な立場から考察すると、実用に供されるウコンの成分はできるだけ一定であることが望まれます。
そのためには栽培条件を常に同じに近づける必要がありますが、実際には収穫された根茎の1つ1つの成分は微妙に異なっています。
したがって、根茎をじかに使うより、根茎を粉状にしたパウダー(粉末)とか、それを粒状に固めたタブレット(錠剤)に加工したほうが成分を平均化できて、薬効を安定させやすいと言えます。
ウコンの薬効はクルクミンおよび精油成分に多く含まれていますが、過去には加工の過程で精油成分が落ちたりして、その合有率が減少するという問題点がありました。
しかし、最近は加工技術が進歩して、精油成分を落とさずに加工することが可能になっています。
とはいうものの、ブームにあやかってウコンと銘うっただけのまがいものの商品が出されているので、成分を十分に確かめたうえで利用してください。
ウコンは、多様な用途に使用されてきた
ウコンのすばらしい独自の含有成分を利用して、昔から、さまざまな利用をされてきました。
ウコンは食品の着色剤
食品の着色剤に使われているウコンの大半は、秋ウコンのほうで、カレー粉を黄色く見せている「ターメリック」とは、秋ウコンの英語名にほかなりません。
ターメリックという言葉が初めてイギリスで使われたのは16世紀半ばですが、ウコンを使ったカレー粉が日本に移入されたのは明治時代の初期とされています。
ちなみに、カレー粉の中には20~40%の割合で秋ウコンが含まれています。
タクアンに色付けされる黄色も、ほとんど秋ウコンから取り出されたものです。
もっとも最近のタクアンには人工着色されたものが多く、秋ウコンで色付けされた本来の姿がしだいに忘れられつつありますが、色合いは仕方ないにしても、殺菌効果がなくなるのは問題です。
ウコンは防虫予防の布用染料に
ウコンは第二次世界大戦以前まで木綿に染められて、赤ちゃんの産着とか風呂敷などに使われていました。
衣類をむしばむ害虫がウコンの特殊なにおいを嫌うからです。
また、反物の端には「鬱金(うこん)文庫」と呼ばれるウコンで染められた木綿をかぶせていましたが、これも虫除けとしてのウコンの利用法です。
ちなみに、沖縄の伝統的衣装である紅型での黄色も、秋ウコンで着色されていました。
秋ウコンは黄色の着色剤として広く使われてきたわけですが、虫除けとしてのウコンのメリットを最大限利用されたわけです。