春ウコンは体の免疫機能を高める
人体を守る防御システムは大別して2つに分けられます。
1つは、一般的な異物や微生物などの侵入物に対して、鏃差別に排除する初期段階に働く「非特異的防御機構」です。
もう1つは、1度感染して回復したあと、同じ病原体には2度と感染しないという「免疫」の機構ですが、これは侵入物を認識して特異的に反応・処理するために「特異的防御機構」と言われています。
免疫の働きに関与しているのは、生体に脈々と流れている血液成分のうち、「白血球」に属する「リンパ球」の仲間たちです。
リンパ球にも何種類かあって、「細胞性免疫」に関与する「T細胞」と「体液性免疫」に関係する「B細胞」の2つがおもなものです。また、「NK細胞」もリンパ球の1つですが、これはガン細胞を退治するものと考えられています。
人の生体には常にガン化しそうな細胞が存在していますが、生体中のリンパ球がしっかり働いてくれさえすれば、異質な細胞をかたっぱしから食いつぶしてくれるため、結果的にガンにならずにすむ、と考えるガン研究者もいます。
要するに、生体の防御機能がしっかり働いていれば、ガンの芽が生じてきても、生体の防御システムが活性化されて、細胞がガンに成長する以前にガン化を抑え込んでしまうのではないか、と研究者たちは考えているのです。
したがって、防御系でのリンパ球の働きが落ちないように生体を維持していけば、病気が起こりにくくなるわけですが、老化現象が起こると、当然のこととはいえ、生体での防御系の働きが鈍化してきます。
老化現象を西洋医学の薬で止めようとしても、残念ながら、生体の防御系を活性化できるなどという不老長寿の薬は、現在のところ見つかっていないし、もちろんできてもいません。
ビタミンEやCなどには老化防止の働きがあるらしいと報告されていますが、生薬にもそういう作用を示すものがいくつかあると考えられており、なかでも春ウコンには生体の防禦系を活性化させる働きがあると期待されています。
もっとも、1つの生薬であらゆる薬効を兼ね備えた万能薬などあろうはずもありません。
生薬にはまだまだ未解明な部分が多くあって、ある治療目的で用いているとき、予期せず生体の別の部分の防御系を維持する薬効が突如として現われることがあってよく驚かされます。