春ウコンには皮膚病にも効能がある
カビ類は、形態的には大部分が菌糸(糸状の細胞)を持っている口ので「糸状菌」と呼ばれ、分類学上では「真菌」に属します。
糸状菌は「細菌」(バクテリア)よりも大きくて、より進化した「微生物」です。最小の微生物は「ウイルス」ですが。
これは細胞を持たず、他の生物内でのみ自己増殖する簡単な生命体です。
かいつまんで言うと、ウイルスが最も小さく、それより大きいのがバクテリアで、さらに大きな微生物が糸状菌すなわち真菌類です。
なお、「スピロヘータ」とは螺旋形をしたやや大き目の細菌で、また「リケッチャー」は一般の細菌よりうんと小さな微生物です。
さて、真菌は最下等の葉状体植物のうちの菌類に属しますが、そのうち「皮膚真菌類」(皮膚糸状菌類)は「皮膚真菌症」(皮膚糸状菌症)を引き起こします。
その主要なものに「白癖菌」があり、これが「白癖」症状を招きます。
つまり、皮膚真菌症を代表するものが自癖ですが、頭部の白癖が俗に言うフンラクモ」で、生毛部の白癖が「タムシ」です。
真菌(カビ)は、バクテリアより高級な生物ですから、なかなか人に感染しにくいけれど、ひとたび感染すると、こんどは除去するのが非常にややこしくなります。
真菌類が内臓に入った場合、たとえば肺の真菌症はきわめて面倒な感染症になります。
真菌が皮膚に感染しても、通常はなかなかくっつかないのに、傷があるとか、なにかのはずみで皮膚に真菌がしみついて生育してしまうと、糜爛(びらん)と称して、表面がただれてきますが、この状態が皮膚真菌症です。
ちなみに、頭の「フケ」の一部も真菌の感染によるものです。
頭からフケが多く出てくる場合、中国人は春ウコンを溶いたお湯で頭髪を洗うということですが、春ウコンが頭の皮膚にくっついている真菌に作用して、フケをきれいに取り去ってくれるのだそうです。
ただし、春ウコンは黄色ですから、頭の髪の毛が真っ黄色になったり、頭を拭いたタオルも黄色に染まって色が落とせなくなるので、日本人は嫌がってフケ取りに春ウコンを使うことをしませんが、それでもかまわずに使用すればフケは止まります。
春ウコンは真菌による皮膚病を和らげてくれる生薬です。
なお、ガジュツにも真菌の成長を抑える働きがありますが、春ウコンのほうがよりいっそう真菌類の生育を阻害する薬効を示すようです。