解毒作用を活発化して肝臓を強化する
もう二日酔いもコワクない
さてこの項目は、ウコンの数ある薬理効果のうち、最も高い反響が寄せられている効用についての話です。
まず、ウコンの研究をしている先生方の成果を報告しておきましょう。
「ウコンのクルクミンが肝炎や肝障害に対して有効」
「通常は芳香性健胃薬として用いられているが、クルクミンは、胆汁分泌作用があり、肝炎などの肝臓障害に有効」
ウコンが肝臓によい理由は次のように説明できます。
ウコンに含まれるクルクミンが胆汁の分泌を促進させるのですが、胆汁の役目は胃から送られてきた内容物と十二指腸で混じり、脂肪を分解吸収すること、これがまず第一です。
脂肪分が胃の中に入ってくると、体はそれを消化するために脂肪分を乳化して消化酵素の作用を受けやすくし、十二指腸から胆汁を出すのです。
高脂肪食ですと、当然、この胆汁が多量に分泌されますが、ここでひとつ苦言を呈しておきましょう。
多量の胆汁は大腸の内壁にすみついている腸内細菌に悪影響を与えてしまうことが知られています。
大腸で消化されるのは、小腸で吸収されなかった食物繊維がほとんどですが、それを消化するのが腸内細菌の役目です。
腸内細菌の数は、およそ100兆個。重量に換算すると1㎏から1.5㎏はあります。
その腸内細菌が、胆汁の主成分である胆汁酸に反応して、胆汁酸を「メチルコラントレン」という発ガン物質に変えてしまうのです。
脂肪分たっぷりの肉はたしかにおいしいでしょう。
でもウコンが胆汁の分泌を促してくれるからいいや、なんて考えないでください。
度を過ぎた食べ方の責任までウコンはとれないのですから。
次は解毒作用を助けることですが、どんなふうに助けるのかというと、それにはまず肝臓の解毒作用を理解したほうが早いでしょう。
肝臓は体にとって有害な物質、たとえば腸の中で腐敗したものや食品添加物や薬などの毒性を減らしたり分解したりして体の外に出そうとします。
役に立たないと判断された物質は胆のうに送り込まれたあと、胆汁として放出され、便に混じって体の外に捨てられます。
胆汁は1日におよそ1200mlほど、牛乳ビン5~6本分かつくられていますが、その胆汁の分泌を促すのが、何度もいうようにクルクミンです。
これで、手助けという意味が分かったことと思います。
肝臓の細胞数は1gあたり約2億2000万個。
重さは体重の約2%。
成人の男子で1~1.5kg。
肝臓がある場所はお腹上部、肋骨の下あたりの右側で、故障が起き、3分の2以上切り取ることになっても、元のように修復してくれる丈夫な臓器です。
食物の消化に大事な器官には胃腸、肝臓、胆のう、すい臓などがありますが、肝臓は腸から運ばれてきた栄養分を体タンパクに変えたり、貯蔵したり、送り出したり、アルコールを分解し、胆汁酸やビリルビン(胆汁色素)から胆汁をつくり、1分間におよそ1.5リットルの血液を処理します。
その仕事の多さは、体内の生化学コンビナートといわれるほどです。
肝臓の故障は大きく分けると次の4タイプになります。
・アルコール性肝臓障害
・薬物性肝臓障害
・肝臓ガン
最近はウイルスや食品添加物、それに薬を簡単に口にしてしまう環境など、肝臓を疲れさせてしまう条件が増えています。
肝臓は別名・沈黙の臓器といわれるだけにタフなことは間違いないのですが、それだけに、気づいたときは機能がかなり低下している場合が多いのです。
では、このタフな臓器が肝硬変になるまでをたどってみましょう。
ある実験によれば、1日に1升の酒を2目続けて飲ませれば、それだけで簡単に脂肪肝になってしまうそうです。
脂肪肝自体はたいしたことではないのですが、そうなると、小豆色をしている肝臓が黄色く膨れ、この状態がそのまま長く続けば、やがて肝線維症かアルコール性肝炎が待っています。
肝線維症とは、コラーゲンという固く細い糸のようなタンパク質が溜まっていく病気です。
この線維はアルコール代謝でできるアセトアルデヒドの作用でつくられます。
アセトアルデヒドはあの二日酔いの原因物質です。
アルコール性肝炎は大部分が急性ですが、肝細胞の破壊がいちじるしく、肝細胞がどんどん死んでいき、肝線維症と同様に細胞が線維に変わっていきます。
この状態を放置しておくと、やがて肝硬変を引き起こし、肝臓の細胞に結合組織が増えて肝臓自体が硬くなってしまいます。
硬くなるということは一口でいえば、しなやかでなくなるということです。
こうなるとなかなか治りにくく厄介になってしまいます。
肝臓には大動脈からくる肝動脈と、胃腸から吸収した栄養分を運ぶ門脈の2種類の血管がありますが、肝硬変になると、線維化して硬くなるわけですから、肝臓の中の血管が押されたり変形したりして、流れる血液が極端に少なくなってしまいます。
たとえば、肝臓に入れなくなった門脈血は、別ルートで静脈に流れこみ、食道に静脈瘤をつくり、何かのきっかけでそれが破裂し、大量の血を吐いたりします。
おいしそうなまぐろの赤身を、アルコール度数の強いお酒の中に浸けてみてください。
赤身が白っぽく変化したのが分かると思います。これが、いってみれば肝硬変です。
毎年2万人もの人が命を落とす肝硬変はアルコール性肝臓障害の終着駅なのです。
でも、誤解している人がたくさんいるので断っておきますが、酒を飲みすぎたからといって、酒だけが原因で肝臓ガンになることはありません。
これまでアルコールが原因とされてきた肝臓ガンの多くが、じつはC型肝炎ウイルスであることが分かりました。
肝臓ガンの原因はC型肝炎が80%、B型肝炎一五%、残りの五%がアルコールの飲みすぎや、ピルやホルモン剤や抗生物質などの
薬剤などと考えられています。
しかし、すでにウイルス性肝炎にかかっている人にはこの話は通じません。
肝硬変発症後、約半分の人が10年の内には発症するというデータがあります。
ところで、肝細胞が線維の固まり状態になってしまっだのが肝硬変ですが、いったん線維化してしまうと、もう元には戻りません。
形態が変化し、つまり細胞が変性して肝臓内に分布している血液の循環系統にひずみが起こうなると肝臓の働きが低下し、全身にいろいろな症状が表れてきます。
では、どんな症状があったとき肝機能は低下しているのでしょうか。
転ばぬ先の杖としてあげておきましょう。
・血管がクモのような形で浮き上がる。
・女性様乳房(男性の乳房がふくらんでくる)
・肝萎縮(肝臓が小さくなる)
・腹部静脈瘤(お腹の血管がもりあかってくる)
・出血斑(赤い斑点ができる)
・痔になりやすくなる。
・スネ毛がなくなる。
・浮腫(ふくらはぎがむくんでくる)
黄疸の黄色い色の正体はビリルビンです。
便が黄色いのはビリルビンが含まれているからです。
もともとは胆汁の中に含まれていて、腸管へ分泌されたあと、大部分は便と一緒に排出されます。
ですから、黄疸が進んだ人の便は白くなります。
現代人の肝臓は昔の人より大きくなっていますが、添加物、脂肪、アルコール、ストレスなどの肝臓の負担がそのころよりも増えているからといわれています。
脳も胃も、筋肉も神経も、体はどれも密接なつながりを持っています。どの部分の働きがうまくいかなくても、ほかに影響を与えます。
ランクをつけるわけではありませんが、現在の環境からいえば肝臓が最も働きすぎといえるでしょう。
その肝臓の負担を軽くし、機能を十分に発揮できるように力を貸している健康食品、それが「ウコン」なのです。