春ウコンは糖尿病の治療に薬効が期待できる
人体が必要とするエネルギーは、食物中の成分を通して得られますが、3大栄養素のうち、糖質は肝臓で「ブドウ糖」(グルコース)を作り、からだを動かしたり、脳を働かせるための必要なエネルギー源になっています。
つまり、血液中には常に一定量のブドウ糖が含まれていて、活動するためのエネルギーはブドウ糖を通して獲得されますが、エネルギーとして使う必要のない余分な糖質は、とりあえずグリコーゲンという別の糖質に変えられたり、または脂質に変換されて、人体に蓄えられます。
人体は必要に応じて洋臓の「ラングルハンス島」から「インシュリン」というホルモンを出し、それが生体のさまざまな組織におけるブドウ糖を取り込んだり、またブドウ糖を燃焼させて糖利用を促進させ、血液中のブドウ糖である「血糖」(血液中に含まれるグルコース)を減少させる働きをしています。
すなわち、血糖が多すぎれば肝臓にこれを摂取させ、グリコーゲンに変えて蓄えることで血糖を下げるとともに、肝臓内のグリコーゲンの分解およびブドウ糖の放出を抑えてくれます。
インシュリンは生体において八面六臂(はちめんろっぴ)の大活躍をしているだけに、これが欠乏すると、人体にとって絶対的な必需品を失うに等しい大痛手となります。
「糖尿病」は「成人病」こと「生活習慣病」に最もよく代表される病気ですが、昨今は50歳以上の成人の10人のうち1人が糖尿病と見なされています。
糖尿病とはインシュリンというホルモンの欠如またはその作用不足によって生じる病気ですが、本病は「I型糖尿病」と「Ⅱ型糖尿病」とに分けられます。
I型糖尿病患者では、膵臓からインシュリンが出なくなります。したがって、必ずインシュリン注射を必要とするので、これは「インシュリン依存症」ですが、糖尿病として登録される患者数の5~10%はI型に属しています。残りの9割強はⅡ型の糖尿病患者です。
Ⅱ型糖尿病はインシュリンがまったく出ないのではなく、必要なだけのインシュリンが出ないとか、インシュリンが素直に働いてくれない状態なので、これは「インシュリン非依存症」です。
Ⅱ型糖尿病は生活習慣病の最も代表的な症例ですが、わが国ではⅡ型糖尿病がものすごい勢いで増加しています。
そのほか、糖尿病の予備軍も増えています。正常な人と糖尿病のちょうど境目にいる人たちを「境界型糖尿病」と呼んでいますが、このグループが糖尿病患者の約二倍以上もいます。
I型とⅡ型とを併せた糖尿病患者が50歳以上の人口の約1割いて、糖尿病の予備軍ともいうべき境界型糖尿病という人が10人のうち約2人いて、この年齢層では糖尿病に悩まされる人は10人に3人という統計が出ています。
そして、本病はますます増えつつあります。
糖尿病がなにより怖い点は、からだの抵抗力がなくなって、頭のてっぺんから足先まで、あらゆる部位に「合併症」が生じてくることです。
糖尿病の最大の敵は「肥満」ですから、太った人が正しい食事制限をして、標準体重の近くまで減量すれば、糖尿病の状態はずっと改善されます。
それにもかかわらず、近年は肥満が原因で成人病にかかる人がめっぽう増えています。
若年層における成人病は、将来の大きな社会問題となることでしょう。
人が生きていくには、いろんな栄養素を摂取していく必要があるとはいうものの、現代社会では栄養の過剰摂取が主要な原因となって、糖尿病患者を大量発生させているのです。
飢えることのない時代だからこそ、栄養過多を避け、日々の食事では量から質への転換を図り、必要な栄養分だけを摂取することが健康上の大切な心がまえとされます。
なお、春ウコンには血糖を直接的に抑制する作用はないようです。
ただし、春ウコンには脂質を燃焼させて分解する脂質代謝の異化作用があるので、生体に蓄積される脂肪を少なめに抑えることができます。
したがって、脂質の蓄積によって生じる動脈硬化を遅らせる役目とともに、春ウコンは糖尿病の抑制に関与しており、2次的な予防に役立っていると言えます。
仮に糖尿病にかかっていたとしても、2次的に起こる脂質代謝での異常をコントロールすることで、その治療に好影響をもたらすことが予測できます。